Webサイトの構築やリニューアルするときに、「どうすれば集客が増やせるのか」あるいは「アクセス数は多いのにどうして問合せにつながらないのだろう?」などと悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これらについて考えるとき、根拠や要因となる物事を、理論立てて考えると解決策が見つけやすくなります。それは、ロジカルシンキングと呼ばれ、ビジネスでは、プレゼンテ―ションや商談などでよく使われる手法です。ここでは、ロジカルシンキングの基本ツールの1つ「ロジックツリー」についてご紹介いたします。
ロジックツリーとは
ロジックツリーは、課題の要素を樹から枝分かれしていくように分解して考えるフレームワークです。ロジックツリーを使うと、理論的な考えを視覚化でき、課題の原因が見つけやすくなります。理論的とは、一言で説明するなら「筋道が通っている」ということ。物事を「結論」と「根拠」に分け、体系的に整理して道筋を立てて組み立てます。
また、比較できる要素は、同階層に並ぶよう整理するので、階層が違う要素について議論していて、なかなか結論が出なかった場合、下の図のように、ロジックツリーにしてみると論点のズレに気づけます。他にロジックツリーを使う利点としては、解決策を決める際にも優先順位が決めやすくなります。
ロジックツリーの概念図
ロジックツリーの種類
ロジックツリーは、使う目的に応じて3つの種類があります。
課題を解決するなら「Howツリー」
「Howツリー」は、課題に対してどのような解決策があるのかを挙げていき、階層が深くなるごとに解決策を具体的にしていきます。課題に対して初めは何をしたらいいか分からなくても、ツリーを作成していくうちに解決策が具体的にわかってくるでしょう。
例えば下の図のように「Webサイトからの集客を増やす」という課題に対しては、「アクセス数を増やす」「コンバージョンレート(CVR)を上げる」と大きく2つの解決策が考えられますが、それぞれに何を行ったらいいかを次の階層に書き出します。さらに実際行なうにはどのような方法があるかを挙げていきます。
Howツリーを作成するときにに大切なのは、解決策をMECE(モレなく、ダブりなく)に分解することです。
サイトからの集客を増やす課題解決のツリー例
原因を追求するなら「Whyツリー」
「Whyツリー」は、ある問題に対して原因を洗い出し、真の原因がどこにあるのかを突き止めるツリーです。何か問題が起きた時、原因がすぐ思い浮かんだとしても、実際それが原因かは、想定される原因を全て調べたうえで決める必要があります。
例えば下の図のように、ユーザーから「Webサイトの表示が遅い」とクレームがあった場合、想定される原因は大きく3つに分けられます。
問題が想定されるのは「ユーザーがサイトを見ているデバイス」「ユーザーが利用している回線速度」「Webサイト自体のパフォーマンス」などです。それらが起きるのはなぜなのか、階層を追うごとに原因を具体的に洗い出します。最後の階層で想定した具体的な原因を1つ1つ確かめていくことで、問題の真の原因がとこにあったか突き止めることができます。
Webサイトの表示が遅い原因分析のツリー例
要素を分解するなら「Whatツリー」
「Whatツリー」は、物事の要素を分解し、全体を網羅的に把握したり、概念や構造を整理したりするのに役立つツリーです。身近なところでよく使われているのは、会社の組織図やビジネススキルの一覧などです。下の図は、Webディレクターの職種で発生する「プロジェクトマネジメント」の業務のツリーです。その職業にはどのような仕事があって、その仕事をするにはどのような知識や技術が必要なのか、ツリーを作ることで網羅的に把握できます。Webディレクターの業務は、このほかにWebサイトの企画やチームのマネージメントなどもあります。その仕事の内容は、Web開発の業務に比べると非常に曖昧です。自分の職域をWhatツリーで整理することで、どこまで業務をするのかを判断しやすくなり、業務の関係者にも明確に伝えられるようになります。
組織を把握するためのツリー例
業務を網羅的に把握するためのツリー例
ロジックツリーを作成するときの注意点
ロジックツリーを作成するにあたっては、主に4つの注意点があります。
問題定義を明確にする
ロジックツリーは、物事の要素を全体から細部へ分解していくので、全体の定義を明確にすることが重要です。初めに全体の定義を間違えると、分解した細部も間違ってしまいます。
要素を分解する方向にはルールがある
ツリーはピラミッド型に要素を分解します。横に要素を書き出す場合は、左から右へ、縦に書き出す場合は上から下へ展開するのが一般的です。ピラミッドは階層が深くなるにつれて、具体的に表現するようにしましょう。
それぞれの要素の包有関係・因果関係を意識する
ツリーの要素を分解するときは、右の要素が左の要素とイコールになるように注意しましょう。原因を追究するツリーでは、右の要素が原因となって左の要素がもたらされるといった因果関係が成立するように意識しましょう。
MECE考える
MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとった造語です。「Howツリー」の本文で(モレなく、ダブりなく)と簡単に説明しましたが、1つ1つの言葉には次のような意味があります。
Mutually:相互に
Exclusive:重複せず
and Collectively:全体的に
Exhaustive:余すところなく
MECEは、要素を漏れなく洗い出すために重要だが、あまり徹底し過ぎると本質が伝わりづらくなってしまうので7割ぐらいの適度なMECE感を目指しましょう。
まとめ
Webサイトの運営は、情報の整理・活用が大事になってきます。課題にぶつかったときに解決できるフレームワークを知っておくと、悩む時間を削減できるでしょう。ロジックツリーはビジネスに限らず、さまざまな課題解決や原因究明に役立つフレームワークですので、悩んでいることに当てはめて、解決方法を探してみてはいかがでしょうか。
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