BtoB企業ではこれまで訪問営業が一般的でしたが、コロナ禍にリモートワークが推進されるようになると、営業や商談もオンラインで行われるようになってきました。商談を受ける企業は、事前にWebサイトで相手企業や商材の情報を調べており、商談前には約8割の企業が購買の意思決定が済んでいるとも言われています。
そのため、BtoB企業におけるWebサイトの必要性が高まっています。Webサイトに掲載する情報も、単に商品情報を並べただけのカタログ的な情報ではなく、顧客の検討段階に応じて適切な情報が求められています。
ここでは、顧客の検討段階に応じたWebサイトの情報はどのように考えればいいのか、BtoB企業のWebサイトにはどのようなコンテンツが多く掲載されているのかなど、BtoB企業がWebサイトを制作する際に役立つ情報をご紹介します。
BtoBビジネスの特性
では、BtoBサイトに訪れるユーザーはどのようなことを知りたくて訪問するのでしょうか?それを知るためには、まずBtoBビジネスの特性を理解しておく必要があります。
■BtoB ・BtoC取引の比較表
比較項目 | BtoB(法人) | BtoC(個人) |
意志決定者 | 組織や部門のトップ | 消費者自身 |
取引単価 | 高額 | 少額 |
顧客数 | 少ない | 多い |
アピールポイント | 専門性・実用性 | 付加価値・ブランド力 |
購買を判断するポイント | 会社への利益 | 個人の満足度 |
検討期間 | 長期的 | 短期的 |
購買する決定は、個人ではなく組織で行う
BtoCは個人に対して商品やサービスを販売するビジネスです。
具体例としては、普段買い物をするスーパーや百貨店、家電メーカーや衣料品メーカーなどがあります。
BtoCの場合、商品を購入するかどうかは、その商品やサービスを知った本人が決定するのが一般的です。
一方、BtoBは、企業に対して商品やサービスを販売するビジネスです。商品の製造に使う素材や部品、ビジネスツール、コンサルティングなどを取り扱う傾向があります。
素材や部品においては、1度に大量に購入したり、ビジネスツールやコンサルティングにおいては専門性が高いものが多く、取引金額が高額になる特性があります。
購買においては、「企業としてその商品やサービスを導入することによって、売り上げに貢献できるか」を社内で協議のうえ決定され、個人の意思で決まることは極めてまれです。
購買するまでの検討期間が長い
購買にあたっては、社内の稟議を提出して担当者の上長だけでなく、役員など複数から承認を得なければならないので時間がかかるのが一般的です。
購買を判断するときのポイントは「会社への利益」
BtoB取引で扱われる商品やサービスの多くは、製造過程で必要になるものです。
購買して製造に投入した時に大きな成果を生み出して、会社の利益につなげられるかが大事になってきます。
BtoB企業が、貴社の商材を取り入れようとするには、何らかの課題があるはずです。
その課題を改善できるものを探して、貴社のサイトにたどり着いている可能性があります。
そのような状況を想定し、貴社のサイトに呼び込みたいBtoB企業がかかえる「お悩み系キーワード+地域」でサイトを施策するのも1つ方法です。
BtoB企業における購買のプロセス
BtoBビジネスの特性を理解したところで、BtoBサイトに訪れる顧客にはどのような検討段階があるのかを見てみましょう。次の1~6は、一般的な、BtoB企業における購買のプロセスです。
1.課題の発生
「売上げを上げたい」「コストを下げたい」「製品の品質を上げたい」など、購買行動を起こすきっかけには、企業がかかえる課題があります。
2.情報収集
課題の改善方法をWeb検索で探します。後で比較検することを踏まえて、できるだけ複数の改善方法の情報を取得します。
この段階のユーザーに向けて、製品を詳しく紹介するカタログや製品を利用するのに役立つ知識のデータを無料でダウンロードできるサイトもあります。
3.問い合わせ
気になる情報や課題を改善できる商材・サービスを見つけた時に、サイトを通じ問合せを行います。
その際は、サイトのお問い合わせフォームやメールなどが主な問合せ手段となります。
4.比較検討
競合他社の類似する商品やサービスの中から、自社の課題を改善できるものを選びます。
この際に、担当者が納得できるというだけでなく、社内でその商品やサービスを選んだ理由が合理的に説明できることが選ばれるポイントになってきます。
5.稟議提出
BtoBの場合、取引金額が大きいため、選ばれた商品を購入するためには関係者の同意が必要になります。
多くの企業では、社内の稟議を提出して複数人の権限者に購買の承認を得る手続きが発生します。
6.購買
社内で稟議が承認されたのちに、購買手続きに入ることができます。BtoBの場合、購買手続きは、商品やサービスを利用する現場担当者が行うのではなく、購買部門や法務部門で行われるのが一般的です。
BtoBサイト制作で押さえておきたいポイント
BtoBサイトは見た目をキレイに制作しただけでは「見込み客」を呼び込むことはできません。
「見込み客」を呼び込むための対策が必要です。具体的にはどのような対策があるのでしょうか。
目標を明確にする
売り上げアップを目指してサイトをリニューアルしたり、集客に役立てようとして新規でサイトを作成することは、あくまで目標を達成するための手段でしかありません。
サイトを活用してどれくらいの売り上げアップを目指すのか、どれくらいの問合せ数を見込んでいるのか目標を明確にしましょう。
訪問してほしいターゲットを決める
Webサイトに訪問してほしいターゲットのイメージを明確にしましょう。
どんな人が訪れて、どんな動きをサイト上でしてもらいたいかをイメージすることで、改善が必要となる要素や、新たに加えるべき情報などが見えてきます。
他者と比較して自社の強みを確認する
商品やサービスを紹介する際に大切なのは自社の強みや弱みを把握しておくことです。
そのためには、販売する市場にどのような競合がいるのか、自社とどのような違いがあるのかを分析してみましょう。
また、自社の強みを知るヒントとして、既存顧客からの意見は大事な情報になります。
集客につながるキーワードの選定
集客につながるキーワードの選定は重要です。
キーワードの選定の選定を誤ると、せっかくページを制作しても、お問い合わせや資料請求が全くこないという可能性も出てきます。
キーワードを選定では、訪問してほしいターゲットに合ったキーワードを選びましょう。
ブランディングや集客の効果を得られるコンテンツ
マーケティングで成果をあげられるBtoBサイトにするには、どのようなコンテンツが必要になるのでしょうか?
ここでは、サイトに載せることでサイトのブランディングや集客の効果を得られるコンテンツをご紹介します。
トップページ
BtoBのトップページは、サイト以外のさまざまな場所(展示会、セミナー、メディア、Web広告、SNS、動画など)で接点を持った見込み客が、興味をもってサイトに訪れて最初に見るページです。
訪れた目的が問合せや資料のダウンロードだった時は、すぐにコンバージョンにつながる導線設計にすることが大切です。
BtoB企業のトップページは、そのほとんどがヘッダーにお問い合わせや資料請求、ログインなどのリンクを設定しています。
また、情報収集目的にトップページを訪れたユーザーに対して情報を見つけやすくするために、ユーザーニーズの高い順に上からコンテンツを並べることが鉄則になっています。
商材の特徴
特徴のページは、製品やサービスの強みについて紹介するページです。
検索で>特徴のページを1番最初に見るユーザーもいるため、ユーザーが抱えている課題に対して、この製品やサービスを使ったらどのように解決できるのか、他社とどこが違うのかを1ページにまとめた、ランディングページのような情報構造で作られることが多いです。
サービス・機能
サービス・機能のページは、自社がアピールしたい内容を強調しがちですが、その内容がユーザーの求めている情報と合っていない場合もあります。
ユーザーの視点に立った説明や見せ方を意識しましょう。
また、ユーザーごとに求めている機能や知りたい情報は1人1人違うので、サイト上には全ての機能とその情報を抜け漏れなく掲載することが重要です。
紹介ページ・事例
自社の商材をどこの企業がどのように使っているのかを載せることは、事例となる企業が、誰もが知っている大企業や団体であればあるほど信頼感や安心感を与えることができます。
載せる企業は、自社サイトに訪れるユーザーが抱えている課題に近い事例を選ぶと良いでしょう。
そのためには、自社の商材を使ってくれている企業を業種や規模、課題などで分類しておくと選びやすいでしょう。
会社情報
会社情報はどのサイトにもあるコンテンツのため、あまり力を入れて作っていない会社も多いのですが、BtoBサイトではトップページの次に会社情報のページへの流入が多いというサイトも少なくありません。
会社情報の主な内容としては、会社名、所在地、会社設立年、代表者、事業内容、資本金、従業員数などです。
会社情報だけでなく組織図も掲載して会社の体制を見てもらうことでしっかりした会社だということがアピールできます。
また、主要取引先を入れると信頼と実績をアピールできます。
資料ダウンロード
BtoBマーケティングでは、見込み客を育てる目的でホワイトペーパーまたはebookと呼ばれる情報をダウンロードする施策があります。
ダウンロードする情報にはユーザーに役立つ製品のマニュアルや関連知識が得られる情報が多く、個人情報を入力して取得する形式になっているので、そこで得た情報はマーティングに活用できます。
お問い合わせフォーム
お問い合わせフォームとは、商品やサービスに興味を持ったユーザーが質問をしたり、見積もりを依頼したりするものBtoBサイトにおいては見込み客とコミュニケーションをとる重要なツールです。
作成する際は、ユーザーが負担なく入力できることを意識しましょう。
お問い合わせフォームに入力されたデータは、マーケティングの資料にもなるのでしっかり情報を集めたいですよね。
入力する個人情報は、会社名、担当部署、連絡先他などで、質問欄は自由入力になっているケースがほとんどです。
悪用をさけるためにも文字数制限を設けるなどの対策は必要でしょう。
サイトマップ
サイトマップは、サイト内にどのようなページがあるのかを一覧で表示したものです。
サイト内で迷子になったときも、サイトマップを見ることでサイト構造を理解して目的のページにたどり着くことができます。
サイトマップには、ユーザーに対して目的のページがどこにあるか案内するための「HTMLサイトマップ」、もう1つは検索エンジンのクローラーに対してサイト内にどのようなページがあるか知らせるための「XMLサイトマップ」があります。
ここで説明したユーザーに案内するためのHTMLサイトマップは、SEOの効果はないため設置していないサイトもありますが、きちんと制作することでWebサイトの利便性アップにはつながります。
レスポンシブ対応
レスポンシブ対応とは、パソコン、タブレット、スマートフォンなどWebサイトを見る画面サイズに合わせて、見やすい表示に自動的に切り替わるデザインのことです。
現在インターネットを見る端末は、スマートフォンが約6割を占めており※、BtoBだからといって、パソコンから見ているとは限らなくなってきました。
営業やマーケティングの担当者が、外出先から、または会議中にスマホで情報を探す可能性もあるからです。
今後はBtoBのサイトでもレスポンシブ対応は必要になってくるでしょう。
参照元※総務省「通信利用動向調査」令和2年度
ユーザーに価値ある情報を掲載して、潜在顧客に見つけてもらうコンテンツマーケティング。Webサイトはコンテンツを蓄積しながら戦略的にマーケティングを実施していくのに最適な手法です。こちらの記事では、コンテンツマーケティングがBtoB業界で人気の理由や、Webサイト以外にもよく活用される手法をご紹介しています。
まとめ
繰り返しになりますが、集客につながるBtoBサイトにするには次のポイントが重要です。
・情報収集目的にトップページを訪れたユーザーに対して情報を見つけやすくするために、ユーザーニーズの高い順に上からコンテンツを並べる。
・特徴のページは、ユーザーが抱えている課題に対して、この商材を使ったら課題をどのように解決できるのか、他社とどこが違うのかを1ページにまとめる。
・サービス・機能のページは、全ての機能とその情報を抜け漏れなく掲載する。
・自社の商材をどこの企業がどのように使っているのかを載せることは、信頼感や安心感を与えることができる。
・会社情報だけでなく組織図や主要取引先を入れると信頼と実績をアピールできる。
・資料ダウンロードで得た情報はマーケティングに役立つ。
・お問い合わせフォームは、離脱率を下げるためにもユーザーが負担なく入力できる設計を意識する。
・サイトマップは作成しておくとサイトの利便性につながる。
・BtoBクライアントでもスマホで情報収集を行う。また、検索エンジンなどからの評価を得るためにもBtoBのサイトでもレスポンシブ対応は必要。
自社サイトをリニューアルや新規立ち上げのときには、これらのポイントを参考にして成果につながるサイトを作成してください。
この記事ではマーケティングの面から制作のポイントをご紹介しましたが、サイト構築の面では以下の記事も参考になりますのでご覧になってみてください。
企業のWebサイトでコラムやブログなどの記事ページを活用するマーケティングが増えています。ほとんどのWebサイトの記事ページがSEOを意識するあまり、客観的で似たような理論構造になっており、販売促進において、有機的には機能していないのが多くの実状です。Page Deliveryは、その記事ページに直感的に行動意欲が上昇しやすくなるブリッジページを追加することにより、記事ページからのコンバージョン率を高めます。